DHTを生み出す5αリダクターゼ還元酵素は、必要なのか不必要なのか

AGA治療をしている方、これから始める方にも役立つ知識の事です。

薄毛のメカニズムを簡潔にいうと、男性ホルモンのテストステロンが５αリダクターゼという還元酵素と結合して、ジヒドロテストステロン（DHT）に変換されます。DHTが毛母細胞内の男性ホルモン受容体と結びついて発毛を抑制してしまうというメカニズムです。

テストステロンは、男性ホルモンとして必要だから、５αリダクターゼを抑制すれば、DHTの発生を減らすことができ、発毛に繋がるという方法が現在の主流です。

では、５αリダクターゼは、本当にDHTとともに発毛にとって不必要なもので、減らすことができるのであればとことん減らすようにしてもいいのでしょうか。

今日は、５αリダクターゼの事を深掘りしていきたいと思います。

5αリダクターゼとは？
どうやって増えるのか？減らすことはできるのか
1. では、５αリダクターゼが多い人は、減らすことが出来るのか？
2. では、５αリダクターゼを減らしすぎても大丈夫なのか？
個人的考察

5αリダクターゼとは？

では、そもそも5αリダクターゼは何なんでしょうか。

これは、5α還元酵素と呼ばれる酵素の一種です。男性ホルモンを作るために必要な酵素です。還元酵素は大きく分けて『代謝酵素』『食物酵素』『消化酵素』の3種類に分類されますが、5αリダクターゼは3つのうち、代謝酵素に分類されます。5αリダクターゼ単体であれば、体内の男性ホルモンの働きをサポートし活性化させる役割を持っている良い酵素なのです。

しかし、頭皮にある男性ホルモン受容体と結びつくことでヘアサイクルを乱す悪い男性ホルモンへと変化してしまうのです。

また、5αリダクターゼは、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型と３つにわけることができます。AGAに関係しているのは主にⅠ型、Ⅱ型です。

	存在する部位	多い人の特徴
Ⅰ型	側頭部、後頭部をはじめ、全身の毛乳頭細胞に存在	肌や頭皮が「脂っぽい」と言われる人
Ⅱ型	前頭部や頭頂部に多く存在	ひげや体毛が濃い人

肌や頭皮に脂が多い人は、側頭部や後頭部に限らず全身の毛乳頭細胞にⅠ型が存在しています。また、ひげや体毛が濃い人は、Ⅱ型が多いという特徴があります。自分がⅠ型とⅡ型、どちらが多いタイプなのか把握しておくと、治療法を選択する際に役立つでしょう。

どうやって増えるのか？減らすことはできるのか

5αリダクターゼの分泌量には個人差があります。その量は遺伝によって決まると考えられています。父親か母親のどちらか一方でも5αリダクターゼ活性の高い遺伝子を持っていれば子どもにも受け継がれるということです。

つまり、５αリダクターゼは遺伝的要因で分泌量が決まるので、多い人は多いのです。Ⅱ型でヒゲや体毛が濃く薄毛の方は遺伝的要因も主要な原因のひとつです。

では、５αリダクターゼが多い人は、減らすことが出来るのか？

これは、可能です。

それが、AGA治療で専門クリニックで処方される薬です。

２つの薬が承認されていて、フィナステリドとデュタステリドです。今日の記事では詳細は割愛しますが服用することで５αリダクターゼを抑制することができます。

では、５αリダクターゼを減らしすぎても大丈夫なのか？

この答えは、NOです。

減らしすぎること、つまり、薬の長期服用や、摂取量を増やすことは身体への副作用が考えられるので止めた方がよいです。

その副作用の主な症状は、男性機能の低下です。

５αリダクターゼとテストステロンからジヒドロテストステロンが生成されますが、ジヒドロテストステロンは完全な悪者かというとそうではなく、成長期に健全な身体をつくるためにはなくてはならないもので、5αリダクターゼの欠乏により性器や精巣の発達に異常をきたします。また、成長期ではなく成人男性の場合は、長期的な服用で、勃起不全や性欲減退という報告もあります。